建築費指数 利用の手引き


建築費指数  利用の手引き


(注)詳しくは、「建設navi」建設経済情報のサイトの「建設物価指数月報」の解説記事をご参照ください。


1.建築費指数の性格

  建築費指数は、建物を建築する際の工事価格の変動を明らかにすることを目的として作成されているも ので、建築工事に関する一種の物価指数です。
作成方法としては、建物はそれぞれ個別の条件によって建築されるのがほとんどであるため、同一の建物の 工事価格を時系列で比較することによって工事価格の動向を把えるという、一般商品のような物価指数作成の 方法をとることができません。
こうしたことから、この建築費指数は、それぞれの建物をいわば基準化した建物として設定し、その建築工 事価格を構成する細かな費目等の工事価格を合成して指数を作成する方法をとっています。
したがって、実際に建築された建物の工事価格による指数ではなく、理論的な指数となっていますが、これは建物が個別性の強い生 産物である限りやむを得ない作成方法で、概ね建築工事価格の動向を把えているものとしています。
また、建物の内容差が時間によって変化することから、できるだけ実態に合った指数とするため、基準化し た建物を見直すなどの基準年の改定を概ね5年ごとに行うこととしています。
このため、2018年11月より旧基 準指数(2005年基準)を新基準指数(2011年基準)に改定しました。

2.作成方法の概略

(1)建物の基準化
 建物の基準化は二つの方法によっています。
一つ目の基準化の方法は、個別性を消去するために、2011年に建築された建物を平均したもので、「標準指数」作成に用いています。
二つ目の基準化の方法は、実際に存在した個別の建物で、「モデル指数」作成に用いています。

(2)指数作成の方法
 基準化したそれぞれの建物の建築工事費のうち、工事原価を構成する各費目及び細目等の工事費のウエイト を求め、それぞれの費目、細目等に対応させた工事価格指数を、そのウエイトによって合成する方法をとって います。
ウエイトは、2011年(基準年)で固定されています。こうした作成方法は、ラスパイレス算式と呼ばれるも ので、一般の物価指数の算出に用いられている方法です。

(3)価格データ
 指数作成のための価格データは、当調査会調査による建設資材価格、施工単価、官公庁公表の諸統計などの 結果を用いています。

(4)指数作成地域
 標準指数、構造別平均指数、モデル指数及び連鎖方式による建築費指数(参考指数)については、東京です。 地域指数(都市別指数及び都市間格差指数)については、大阪、名古屋、福岡、広島、高松、金沢、新潟、仙台 及び札幌の9都市としています。

(5)消費税について
 本指数作成のための価格データは、主として月刊「建設物価(当調査会発行)」の結果を用いています。「建設物価」においては消費税抜きの調査を行っていることから、本指数においても消費税は含まれていません。

3.建築費指数の種類

(1)建築費指数の種類の概要
  建築費指数には、「標準指数」、「構造別平均指数」、「モデル指数」及び「地域指数」の4種類があります。また、参考指数と して、「連鎖方式による建築費指数」(以下、「連鎖指数」という。)があります。
① 「標準指数」
  標準指数とは、建物を使途、構造の2つの条件によって分類し、各グループ毎にそれぞれの工事費に占め る科目、細目等の平均的な金額構成比(以下、金額ウエイトという)を求め、これに後述する細目価格指数を 乗じて算出した指数です。

② 「構造別平均指数」
  構造別平均指数とは、標準指数を2011年「建築着工統計(国土交通省)」の工事費ウエイトによって、1)鉄骨 鉄筋コンクリート造(SRC)、2)鉄筋コンクリート造(RC)、及び3)鉄骨造(S)の3種類に分類、総合した 指数です。

③ 「モデル指数」
   モデル指数とは、特定の建物をモデルとして取り上げ、それぞれのモデル毎に工事費に占める科目、細目 等の金額ウエイトを求め、これに標準指数同様の細目価格指数を乗じて算出した指数です。 モデル指数の建物は、当会発行の「建築コスト情報」に掲載されている実在の個別モデルであり、基準時の 建築費(純工事費)も併せて表示してあるので、これに建築費指数を乗じることによって、比較時における建 築費を算出することができます。

④ 「地域指数」
  地域指数とは、標準指数のうち主な建物種類について、後述する東京以外の9都市の価格データを用いて 算出する指数であり、都市別指数と都市間格差指数とがあります。都市別指数とは、各都市の建築費の動向を 2011年=100として表したものであり、都市間格差指数とは都市別指数を東京=100として、東京に対する各 都市の格差を表したものです。

⑤ 連鎖指数(参考指数)
  連鎖指数とは、毎年科目ウエイトを更新して指数を算出するものであり、住宅(RC)、事務所(S)、工場 (S)について、2005年(平成17年)基準から参考指数として算出しています。

(2)公表する指数の種類について
①標準指数(東京):19建物種類
  建物を使途、構造によって分類し、19建物種類の指数を作成しています。

[参考表] 標準指数(作成建物の種類)

  建物番号

  使途

   構造 

  基準時

  No.1   集合住宅  SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2011年
  No.2   集合住宅  RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.3   集合住宅  S 鉄骨造   2011年
  No.4   事務所   SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2011年
  No.5   事務所  RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.6   事務所   S 鉄骨造   2011年
  No.7   店舗  RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.8   店舗  S 鉄骨造   2011年
  No.9   医院  RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.10   病院  RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.11   老人福祉施設  RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.12   ホテル  RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.13   体育館  RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.14   体育館  S 鉄骨造   2011年
  No.15   学校  SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2011年
  No.16   学校   RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.17   工場  S 鉄骨造   2011年
  No.18   倉庫  S 鉄骨造   2011年
  No.19   住宅  W 木造   2011年

②構造別平均指数:3建物種類
  標準指数を「2011年建築着工統計(国土交通省)」工事費予定額の金額ウエイトで鉄骨鉄筋コンクリート造 (SRC)、鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨造(S)の3種類に分類、総合した指数です。

[参考表] 構造別平均指数(作成建物の種類)

  建物番号      使途     構造             基準時
  No.20      -   SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2011年
  No.21      -   RC 鉄筋コンクリート造   2011年
  No.22      -  S 鉄骨造   2011年

③モデル指数:19建物種類
  当会発行の「建築コスト情報」に掲載された19建物種類の実在の建物をモデルとして取り上げ、それぞれの モデルごとに算出した指数です。また、基準時の建築費(純工事費)を掲載していますので、比較時の建築費 指数を乗じることにより、概算建築費を求めることができます。
なお、旧年基準のモデル指数は17建物種類でしたが、新年基準では、4建物種類を廃止し、新たに6建物種類を加え、合計19建物種類としました。

[参考表] モデル指数(作成建物の種類)

  建物番号

  使途

   構造 

  基準時

  No.23   大学実習棟  RC 鉄骨鉄筋造   2011年 10月
  No.24   店舗付住宅  S 鉄骨造     2012年 10月
  No.25   小学校(教室棟)  RC 鉄筋コンクリート造   2013年 10月
  No.26   総合保育施設   RC 鉄筋コンクリート造   2014年 10月
  No.27   ホテル  S 鉄骨造   2016年 10月
  No.28   店舗・事務所付マンション   RC 鉄筋コンクリート造/ S 鉄骨造   2017年4月
  No.29   店舗付集合住宅  RC 鉄筋コンクリート造   2015年 4月
  No.30   事務所ビル  S 鉄骨造/ SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2013年4月
  No.31   事務所・店舗ビル  RC 鉄筋コンクリート造   2014 年4月
  No.32   化学製品工場  S 鉄骨造   2016年 4月
  No.33   低層集合住宅  RC 鉄筋コンクリート造   2012年 4月
  No.34   事務所ビル  SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2011年4月
  No.35   小劇場付ワンルームマンション  RC 鉄筋コンクリート造   2009年 4月
  No.36   体育館  RC 鉄筋コンクリート造/ S 鉄骨造   2010年 4月
  No.37   大学(情報系)  SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2008年 4月
  No.38   大規模倉庫   RC 鉄筋コンクリート造   2007年 4月
  No.39   店舗  S 鉄骨造    2006年 4月
  No.40   総合病院  RC 鉄筋コンクリート造   2003年 4月
  No.41   図書館  RC 鉄筋コンクリート造   2004年 5月

④地域指数:11建物種類
  標準指数の主な建物種類および構造別平均指数について、全国主要9都市(大阪、名古屋、福岡、広島、高 松、金沢、新潟、仙台、札幌)の価格データを使用して算出した指数です。都市別指数と都市間格差指数(東 京=100)がある。なお、今回より47都道府県の県庁所在都市の指数計算も行いました。

[参考表] 参考指数 地域指数(作成建物の種類)

指数の種類

  建物番号

   使途 

   構造

  基準時

標準指数   No.1   集合住宅 SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2011年
標準指数   No.2   集合住宅 RC 鉄筋コンクリート造   2011年
標準指数   No.4   事務所 SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2011年
標準指数   No.5   事務所 RC 鉄筋コンクリート造   2011年
標準指数   No.6   事務所 S 鉄骨造   2011年
標準指数   No.16   学校 RC 鉄筋コンクリート造   2011年
標準指数   No.17   工場 S 鉄骨造   2011年
標準指数   No.19   住宅 W 木造   2011年
構造別平均指数   No.20   - SRC 鉄骨鉄筋コンクリート造   2011年
構造別平均指数   No.21   - RC 鉄筋コンクリート造   2011年
構造別平均指数   No.22   - S  鉄骨造   2011年

⑤連鎖方式による建築費指数(参考指数)
  参考指数として、住宅(RC)、事務所(S)、工場(S)について、東京の指数を公表しています。

[参考表] 参考指数 連鎖指数(作成建物の種類)

  建物番号

  使途

   構造 

  基準時

  No.2   集合住宅  RC 鉄骨鉄筋造   2011年
  No.6   事務所  S 鉄骨造   2011年
  No.17   工場  S 鉄骨造   2011年


4.建築費指数の構成

  建築費は、一般管理費及び利益等、建築費を構成する一切の費用を含む契約工事額として把握されるほか、 工事原価、純工事費、建築純工事費、設備工事費等のように、いくつかの段階で捉えることができます。
この ため、本指数では、契約工事額以外のこれら各段階の建築費に対する次のような建築費指数(非木造建物の場合)を作成しています。
   ① 「工事原価指数」
   ② 「純工事費指数」
   ③ 「建築純工事費指数」
   ④ 「設備工事費指数」
   ⑤ 「仮設工事費指数」
   ⑥ 「土工・地業工事費指数」
   ⑦ 「躯体(くたい)工事費指数」
   ⑧ 「仕上工事費指数」
   ⑨ 「電気設備工事費指数」
   ⑩ 「衛生設備工事費指数」
    ⑪ 「空調設備工事費指数」


■ その他の特別な取扱い
①仮設工事
 仮設工事は、総合(共通)仮設と直接仮設の合計としました。仮設工事は、その性格上、建物によりばらつきが大 きい費目であるため、設備工事費の大小による仮設工事費率の変化を考慮したウエイトとしています。
②現場経費
 現場経費は、人件費(作業所の従業員給料・手当等)、事務用品費、設計費、通信・交通費、金融・保険料等 に区分し、「毎月勤労統計 (厚生労働省) 」、「企業向けサービス価格指数 (日本銀行) 」、「消費者物価指数 (総務省) 」等により算出しています。現場経費も仮設工事同様にばらつきの大きい費目であるため、会計関係及 び諸経費関係等の資料も参考にしてウエイトを算出しています。

5.建築費指数の算式

  建築費指数は、基本的には、次のラスパイレス算式によって算出されています。

 ただし、このラスパイレス算式によるものは、次の
⑤「 仮設工事費指数」
⑥ 「土工・地業工事費指数」
⑦「 躯体工事費指数」
⑧「 仕上工事費指数」
⑨「 電気設備工事費指数」
⑩「 衛生設備工事費指数」及び
⑪ 「空調設備工事費指数」
の7つの指数であり、
次に掲げる
① 「工事原価指数」
② 「純工事費指数」
③ 「建築純工事費指数」及び
④ 「設備工事費指数」
は前述の⑤~⑪の指数を各費目の工事費に占めるウエイトにより総合することによって求められる、いわば積上げ指数です。
例えば、
③建築純工事費指数=(⑤仮設工事費指数×仮設ウエイト)+(⑥土工地業工事費指数×土工地業ウエイト) +(⑦躯体工事費指数×躯体ウエイト)+(⑧仕上工事費指数×仕上ウエイト)となります。
 なお、現場経費及び昇降については、単独の指数としては公表されませんが、他の指数と同様の計測を行い、現場経費は①に、昇降は①、②及び④の指数に反映されています。

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(参考)連鎖方式によるラスパイレス算式について
  従来の固定基準ラスパイレス算式は、基準時のウエイトを長期間にわたり固定するため、法改正や仕様の変 化、工法の多様化など、建築を取り巻く環境変化によって変動する最新のウエイトとは乖離することもあり、 その場合は市場動向を敏感に反映することが困難になると考えられます。前回の2005年基準改定から、それを改 善する試みとして、「連鎖方式によるラスパイレス指数」を参考指数として公表しています。この指数は、前年のJ BCIによる科目ウエイトを用いて、毎年ウエイトを更新して指数を算出しています。住宅(RC)、事務所(S)、 工場(S)を公表指数としています。
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6.使用データ

①「ウエイト」
(ア)標準指数、構造別平均指数及び地域指数
 これらの指数のウエイト設定に使用したデータは、非木造科目については「ジャパン・ビルディング・ コスト・インフォメーション(以下、JBCIとする。)」2011年着工データを使用し、木造科目及び細目 (非木造、木造)等については、「平成23年(2011年)建築工事費内訳調査結果(国土交通省) 」及び別途収 集した資料によりました。
(イ)モデル指数
 モデル指数のウエイト設定に使用したデータは、「建築コスト情報 (当会発行) 」掲載の実例によりました。
(ウ)連鎖指数(参考指数)
 連鎖指数のウエイトは、毎年のJBCI結果を使用しています。なお、JBCI調査は年1回行われるた め、連鎖指数のウエイト更新も年1回としています。
②細目及び細目価格
 細目は、工事費に占めるウエイトの大きいもの、各建物に共通して使用頻度の高いものを代表細目として、223品目選定しました。
これらの細目の価格は、「建設物価」及び「建築コスト情報」に掲載される最近の価格を採用し、2011年基準(=100)で指数化して使用しています。
また、代表細目はほとんどが材工共の施工単価であるので、「建設物価」及び「建築コスト情報」からもこれに応じた価格抽出を行っています。

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(参考)「JBCI(ジャパン・ビルディング・コスト・インフォメーション)
  JBCIは、当会の総合研究所が非木造建築を対象に1999年から実施している契約価格をベースにした工事費調査の情報です。
全国の施工会社・設計事務所・発注機関を対象に建物概要と契約時の科目別工事金額を調査し、工事と建物の規模等との 分析結果を「JBCI インターネット建物価格情報サービス」https://www.jbci.jp/にて発表しています。
新基準指数の非木造建物の科目ウエイトは、2011年(平成23年)着工データ を使用しています。
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7.建築費指数の対象地域

  標準指数、構造別平均指数、モデル指数及び連鎖指数(参考指数)については、東京としています。
地域指数(都市 別指数及び都市間格差指数)については、大阪、名古屋、福岡、広島、高松、金沢、新潟、仙台及び札幌の9 都市としています。

8.基準時及びその改定

  標準指数、構造別平均指数及び地域指数の基準時は2011年とし、概ね5年ごとに改定を行っています。 モデル指数の基準時は、それぞれのモデルが「建築コスト情報」に掲載された最新時点としています。 連鎖指数(参考指数)の基準時は2011年です。また、年1回ウエイト更新を行います。そして、毎年12月の指 数を用いて指数の基準化、接続を行います。なお、JBCIの前年ウエイト(t-1年)は、毎年年央頃に更新さ れるため、接続時から公表時までは2年前のウエイトで指数を計算し、前年ウエイトが利用可能となった時点 で遡及リバイス(再計算)を行い、連鎖指数を確定公表します。

9.建築費指数の変動に対する細目寄与度

  建築費指数の算出のほかに、建築費指数の変動の要因を把握できるように、各細目の寄与度を算出しています。 ここでいう細目寄与度とは、建築費指数の変動分のうち、例えば鋼材がどれだけ上昇させたか、あるいは生コ ンクリートがどれだけ下落させたか等、建築費全体(ここでは純工事費とした)の変動に対する細目の影響度合 いを、2011年比、前年同月比及び前月比について計測するものです。

10.接続指数

  平成23年(2011年)基準建築費指数は平成23年(2011年)以降を指数として作成しています。したがって過去 にさかのぼるためには基準年ごとに一定係数を乗じて計算する必要があります。これを接続指数といいます。
接続指数は、標準指数、構造別平均指数については昭和55年(1980年)まで、また、地域指数のうち都市別指数の一部に ついては平成2年(1990年)までさかのぼって計算し、平成23年(2011年)基準接続指数として公表しています。
  例えば、昭和55年(1980年)基準指数を平成23年(2011年)基準に接続する場合には下記の算式により算出 されます。

  なお、建築費指数の基準改定では、基準年ごとに規模・内容の異なる建物で指数化しておりますので、上記の算 式はあくまで便宜的なものです。
  したがって、長期の時系列として利用される場合はこのことにご留意されるようお願いいたします。また、モデル指数と地域指数 のうち都市間格差指数、連鎖方式による建築費指数は、接続指数の計算は行っておりません。

[参考図]建築費指数の構成





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